1月 28, 2010 0

[interview] CINEMA dub MONKS と「永遠と一日」〜物語をめぐる旅〜 [2]

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【日常を揺さぶる言葉】

今回のアルバムを作るうえで重要なキーワードとなったのが、ギリシャ人監督、テオ・アンゲロプロスの映画『永遠と一日』。ブルーノ・ガンツ演ずる主人公はギリシャの国民的作家で、不治の病を抱えている。明日になったら病院へ行こうと決心した彼は、アパートをひきはらい、飼っていた犬を娘夫婦に 預けに行き、ひょんなことで巡り会った移民の子どもと親交を深めるなかでも、家族や亡くなった妻との幸せな時間をフラッシュバックのように何度も回想する、そんな “一日” が描かれている。

大穂 –「アルバムに参加してもらうミュージシャンたちにイメージを伝えるにあたって、この映画を見てよと DVD を貸したりもしました。“永遠” と “一日” という言葉自体にも、どこか今の日常を揺さぶる強さがある。この言葉に惹かれたんですよね。BOSE さんも歌詞のなかで言っているけど、永遠なのか一日なのか、時間を超えている部分だってある」

アンゲロプロスの映画は長い。『永遠と一日』は3時間近く、『旅芸人の記録』は4時間近くある。そして、台詞を言い終わってもフィルムを回し続けているので、役者は所在なげに立ち続け、そこに独特の間合いが発生する。その間合いの持ちようが、「自分がこだわっていることと同じ」だと、大穂は言う。

大穂 –「あの間って、音楽でいうと休符ですよね。映画のなかに意味のあることだけを持ち込むのは、演奏をやめない演奏者と同じ。でも、余白、登場人 物もしゃべらない、後ろで何も起こらないという時間が好きなんです。音楽にもあるんですよね。曲と曲が終わって入る MC もそうだし、静かな余韻も、ブレイクもある。映画で、そのブレイクを作るのは本当に何の意味もないことだけど、アンゲロプロスはやっている。彼の映画って、何作も見るとはまっていくんですよ。あの人は同じことを重ねていく。国境とギリシャの歴史をいうことが好きで、一作ごとにテーマを変えたりしない。そういうところは自 分にもあって、同じことにこだわり続けて形を変えては作っていっている。多分、彼はいつだって、ギリシャ全部をぶちこもうとしているんですよね。その気持ちもわかるんです。これまでで一番嬉しかった感想が、ベルリンでライブをやったときのこと。子どもを連れたおばさんが「今日のライブは私の人生そのものだったわ」って、わざわざ言いに来てくれたんです。全部が入っている音楽。この感想を聞いてから、そういうことをできたらいいなって思い始めたんです」

>> CINEMA dub MONKS と「永遠と一日」〜物語をめぐる旅〜 [3] へ続く
インタビュー/文 : 岡田 KAYA 真由美


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